私たち家を建てます 愛知県T市/川端さん
目 次
最初は茶室のある純和風住宅に魅かれて
辿り着いたのは、高断熱の純和風住宅

■ある住宅誌の写真に魅かれて
愛知県T市にマンションに住む川端さんは今から3年前、住宅雑誌のある写真を見てこう思った。
「こういう和室をつくる工務店がいいんじゃないか、妻が希望する茶室ができるんじゃないか」、本にはそんな想いを膨らませる端正な雰囲気の和室が載っていた。
住んでいるマンションが嫌というわけではなかった。
ただ、日が入る日中は暖かいので過ごしやすいが、夜はエアコンだけでなく床暖房も欲しくなる住まいだった。
2LDKある部屋は、結局、床暖房のあるところだけ使うことになり、北側の部屋はややもすると物置のような使い方になっていた。
そんなことからか、マンション暮らしは3年になるが日々の生活に何かもう一つ充たされないものを感じていて、機会があったらマンションを出ようと思っていたのだ。

■見学会に訪問
住宅誌に載っていたのは岐阜県白川町に本社がある㈱ミノワという会社だった。
T市から距離はあるが川端さんは迷わずその会社に連絡を取り会社案内を取り寄せた。
しばらくして、ミノワから住宅の内覧会があるという案内があった。
案内を見ると内覧会の住宅は和風の家だったので、少しうれしい気持ちになって夫妻は会場へ行くことにした。
■予想通りの和室
会場は岐阜県多治見だった。
すでに会社のパンフレットはもらっていたのでおおよその想定はしていたが、現地に行ってみると、考えていた以上に素晴らしかった。
あらためて間近にみる和風住宅の重厚な趣のある佇まいに、気押されたような気がした。
その日からミノワの家が好きになった。
夫妻はその後同社の住宅見学会に計5回出向いている。
その頃はまだ土地も決まっていなかったので何回も行けたのだが、そのことでミノワの家に新しい価値を発見することになった。

■見学会
多治見を訪問した時、季節は秋口で寒いも暑いもなく、断熱性能には関係ない時期だった。
そして、この頃はまだ二人とも高断熱そのものにそれほどの認識はなく和のテイストを求めていた程度 (本人談) で、会場で初めて会った藤井会長から「どんな家を考えているのですか」と聞 かれた時川端さんは何気なく「家の中でいつでもゴロゴロできる家」と答えていた。
すると「それなら、高断熱の住宅がいいですよ」と言われた。
それが高断熱を意識した始まりだった。
住宅を高断熱化すると冬でも床は冷たくならず素足でもいることができるし、寒くないと家の中でいかにリラックスできるか、そういう話を丁寧にしてくれた言葉の一つ一つがとても印象に残って、その時から「暖かい家 高断熱住宅」が気持ちの中に芽生えたのだった。
■見学会は夏冬のシーズンを通して
「高断熱住宅はこんなにも違うのか」と強烈に体験した経験を二回したという。
一度目は幸田町で開催された真夏の住宅見学会だった。
その住宅は構造見学会(※①)にも訪問していて「この家はすごい高性能だから夏に行う予定の完成見学会にも是非来てください」と言われていた。
その言葉通り、真夏の暑い中、中に入ると全室がまるでビルの空調のように涼しい家だった(川端さんはこの時の印象をクーラーの効き過ぎではないかと思うぐらい衝撃だったと電話の向こうで笑っていた)。
「魔法瓶とはこういうことを言うのか」断熱は夏の暑さにも効くとこの時知った。(※②)
※①構造見学会
断熱気密の施工状況を工事中に公開する見学会。高断熱住宅を標準とする工務店に多い。
※②全室冷房 Q1.0住宅ぐらいの性能になるとエアコン一台で全室冷房が可能で、そういう暮らしをする住宅が増えている。

■体験宿泊
ミノワの藤井会長が川端さんに「もし、よかったら体験宿泊に来てみませんか」(※③)と控えめに声をかけたのは何回目かの見学会訪問の後だった。
体験宿泊は白川町にある会長の自宅兼モデルハウスである。
川端さん夫妻と両親の四人が宿泊に訪問したのは一月の寒い日だった。
そして四人は驚いた。
広々した室内はどこを歩いても寒くないし、かといってガンガン暖房している風もない。
朝起きてみるとごく自然に暖かい。
「1〜2時間滞在する住宅内覧会では高断熱住宅の本当のよさはわかりませんから一泊してみてください」と言った会長の言葉の意味がよく分かった。
こうして、茶室のある純和風住宅に憧れていた家づくりがやがて家中寒くならない性能を備えた純和風住宅になっていったのである。
※③体験ハウスを持つ住宅会社は、見込み客を泊めて成約する会社が多い。「我が社で家を建てるお気持ちがあるなら」という控えめな会社は珍しい。
■高断熱 和風でこの断熱
概して言えば、和風住宅、とりわけ数寄屋風の家は断熱性能が重視されていないのが現実だ。
ところが、ミノワのように性能の高い住宅を主とした家づくりを長く続けていると、和風住宅といえども性能を低くしてしまうことはお客さんに対する背信行為に感じてしまう。
和風の趣を設えながら、きちっと性能をもたせるということが、住宅をつくる側の責務と考えているからだ。 京都は底冷えすると色々な書物に当たり前のように描かれている。
あれは、町屋も数寄屋造りの家も断熱されていない家だからである。
寒さをより強く感じるのだ。
今、住宅は大きく変わった。
和風でも洋風でも、断熱技術さえあれば、あれはダメこれはダメという時代ではない。
快適さも省エネも隔世の感があると思っていい。
川端夫妻の家は、壁の外にさらに100㎜付加断熱された超高性能で、今、T市に建築中である。
この夏、そして次の冬、二人は三度目の驚きを、今度は自分の家ですることになるだろう。


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