これまでの家の欠陥と高断熱住宅の改良
室蘭工業大学
名誉教授
鎌田 紀彦
1985年6月、日本建築学会札幌支部で、在来木造工法住宅の改良工法を発表しました。
新在来木造構法と名付けられ、以後、北海道内で急速に広まり、今日の高断熱高気密住宅が構築されました。
これまでの家はなぜ寒いのか?
新築でもリフォームでもこの原理原則が守られなければ断熱材は効きません
原 因
日本の在来木造工法住宅に特徴的な壁の中にあった。
冬季、暖房すると壁の中に気流が生じ、壁内の断熱材の効果は半減以下になり壁内や小屋裏結露の原因となっていることが解明された。
出典 鎌田紀彦監修「燃費半分で暮らす家」
気流止めのない住宅の冬季暖房時の赤外線写真図。床と壁の接合部が青く立ち上がっている。床下の冷気が壁内部に侵入している。天井面の温度が高く床面が低い典型的な寒い家。
古い住宅の壁内にあった断熱材
断熱材の黒いシミは暖房時、壁内に気流が流れた痕跡。
高断熱住宅はどこをどう改良したか?
在来木造工法住宅の高断熱高気密はこうして誕生しました。
改 良
壁内に気流止めを設け、床下と天井裏に通じていた壁の上下を塞ぎ外壁と壁の間に通気層を設けると、断熱材の性能は100%発揮され壁内や小屋裏の結露が止まった。
出典 鎌田紀彦監修「燃費半分で暮らす家」
気流止めが施工された住宅の赤外線カメラ写真。窓以外に青い部分がない。
上ページの写真と比較すると顕著に違いが分かる。
検 証
完成住宅の壁を剥がし施工後の経年変化を検証した。
築後7年経過住宅を外部から壁を剥がし壁内検証した。
正しい施工が確認され、壁内に異常なし。(青森県十和田市)
長野県安曇野市の現場 築10年経過断熱材目視に異常なし。
山形県酒田市 築17年 リフォーム工事時に検証。
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